商業登記の申請をする -ひとり会社設立編12-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った

会社設立の最終ステップ|登記申請のやり方と注意点

登記申請のやり方

かなえ:「何とか登記書類を揃え終えました!」

いち:「よくがんばりましたね。
ここまで来たらいよいよ設立のゴールが見えてきましたね。」

かなえ:「次は登記申請でしたね。登記書類って…どの法務局に申請してもいいんですか?」

いち:「どの法務局でもいいわけではなくて、登記申請は本店所在地を管轄する法務局に提出します。

かなえ:「申請って窓口まで行って出すんですよね?」 

いち:「はい、窓口での提出もできますし、郵送、あるいはオンライン申請(商業登記電子申請)と複数の方法があります。
ただし、オンライン申請は電子証明書が必要であったり、事前準備がやや複雑と初めての人にはハードルが高いです。
初めての場合は、窓口に持っていく方がいいと思います。
万が一、記載ミスがあってもすぐに確認ができますし。」

かなえ:「はい、私は窓口に持参したほうがよさそうですね。
それで、申請した日が会社の誕生日(設立記念日)になるんでしたよね?日にち選びも重要ですね!
申請したらすぐ登記がされるんですか?」

いち:「はい。
申請してから法務局が内容を審査するので、登記が完了するまで通常は数日〜1週間ほどかかるのが一般的です。
登記の完了後には、登記完了証と会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得できるようになります。
登記完了証は発行されない場合もありますが、登記完了の確認は謄本の取得で可能です。」

登記申請の注意点

いち:「前回も少しお話ししましたが、改めて注意点を確認しておきましょう。
登記書類に不備があった場合、そのまま受理されることはありません。
内容にミスや不足があると、法務局から補正(ほせい)を求められます。

かなえ:「できるだけ間違いたくないですね。」

いち:「そうですね。法務局の担当官が書類をチェックして、間違いがあった場合には電話や書面で連絡が来て、補正の指示があります。
たとえば、印鑑証明書が古い、定款の記載が曖昧、添付書類が足りない等様々なケースがあるようですね。」

かなえ:「そういうことなら書類を直して提出し直せば問題はないということですね。」

いち:「確かに指定された期限内に修正して再提出すれば大丈夫です。
しかし内容によっては再提出になってしまったり、期限内に修正しきれないことも考えられます。」

かなえ:「会社の誕生日がずれてしまう可能性があるってことですか?それは困りますね。」

いち:「設立記念日も大切ですが、会社の設立が遅れると実務的にもいくつか困ることが出てくる可能性があるんです。
たとえば、法人口座は、登記が完了していないと開設できません。
これが遅れると、取引先とのお金のやりとりや、設備投資の支払いなどがすぐに行えない場合があります。

また、助成金や補助金の申請には設立日を基にした締切があることも多いので、タイミングを逃すと申請できなくなってしまう可能性があります。
特に、創業時に必要な経費の一部を、国や地方公共団体が補助してくれる創業助成金などの申請予定がある場合は大変ですよね。

さらには、融資や取引先との契約などのスケジュールがすでに決まっている場合、登記の遅れが事業全体に影響を与えることになりかねません。

かなえ:「誕生日どころか、事業自体がつまずく可能性があるんですね…」

いち:「自分で登記申請をする場合でも、法務局の窓口で事前相談を受けられるので、気になるところがあれば気軽に聞いてみるといいですよ!」

登記完了後に必要な手続きと準備

いち:「無事登記が完了したら、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書をもらっておいてくださいね。
次回お話しする、会社の法人口座を開設する際に必要になります。」

かなえ:「登記事項証明書と印鑑証明書ですね、分かりました!
登記が完了したらいよいよ私の会社が設立されるんですね…緊張します。
登記申請、スムーズに通ればいいけどなぁ。」

いち:「はい、もう一息です。
かなえさんの書類はしっかり準備できてるから、きっと大丈夫ですよ!」

参考資料:法務局商業登記申請手続ほか

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