登場人物紹介
いち
ふたば行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
個人事業と株式会社、かかるお金って税金以外に何があるの?
いち:「改めて個人事業と株式会社のコストの違いについて振り返ってみましょう。」
かなえ:「今までのお話で個人事業と株式会社の税金の違いは分かりました。
株式会社は他にも設立時とか保険とか、色々お金がかかりますよね。
確認できるのは助かります。」
いち:「では早速整理をしてみましょうか。」
設立時にかかるお金
個人事業と株式会社、設立したらいくらかかる?
いち:「個人事業と株式会社は設立をしたらそれぞれいくらくらいかかるんでしょうか。」
個人事業
開業届のみ \0
株式会社
定款認証手数料 3万円~5万円
印紙税 4万円
登録免許税 最低15万円
印紙代などを含めて 合計 約22万円~24万円ほど
かなえ:「会社の設立は思っていた以上にお金がかかって大変でした。
違いを改めてみてみると、起業を個人事業で始める方のほうが多いのは分かる気がします。
限られたお金の中で運営していかなくてはいけませんしね。」
いち:「そうですね、金銭の負担の少なさは大きな魅力の一つだと思います。」
毎年かかる固定費の比較
かなえ:「事業を始めた後にも、いろんな費用がかかってきますよね。」
いち:「そうですね。
株式会社の場合は、税理士顧問料や社会保険料など、税金以外にもいろんな支出があります。
税理士顧問料については、今回が初めての説明になりますね。
以前にも少し触れましたが、法人税の計算ってかなり複雑なんです。
専門的な知識が必要になるので、多くの会社が税理士さんにお願いしているのが実情です。
税理士顧問料は会社を運営する上での固定費として考えておいた方がいいです。」
会社の固定費 | 個人事業 | 株式会社 |
税理士顧問料 | 必要に応じて | 月2~3万円ほど |
社会保険料 | 国民年金+国民健康保険 | 厚生年金+健康保険の会社負担分 |
法人住民税 | 適用無し | 最低7万円(均等割) |
会計ソフト | クラウド会計ソフトは、月額(もしくは年額)課金制 | クラウド会計ソフト+法人会計対応が必要な場合も |
株式会社の社会保険は必須?
かなえ:「法人は社会保険が強制加入なんですよね。」
いち:「はい。たとえ、ひとり株式会社でも、役員報酬を受け取っていたら健康保険と厚生年金に加入が義務になります。
また、人を雇ったら、さらに労災保険にも加入しなければなりません。
これらの負担は大きいですが、出産手当金、老齢年金額の増加など保障が厚いというメリットもあります。」
保険の種類 | 会社:本人負担割合 | 備考 |
厚生年金保険 | 50%:50% | |
健康保険 | 50%:50% | 協会けんぽ等が有り |
介護保険 | 50%:50% | 40歳以上が対象 |
労災保険 | 100%:0% | 労働者のみ |
会社設立編番外編まとめ
いち:「その他のひようとしては、こんな費用が考えられます。
その他の費用 | 金額の目安 | 備考 |
印鑑作成 | 1~3万円くらい | |
法人口座開設諸費用 | 0~数千円 | ネット口座は無料が多い |
官報公告 | 6万円 |
かなえ:「会社運営にはお金がかかりますね…」
いち:「コストだけに注目したらマイナス面が目に付くかもしれませんが、その分の対価も大きいと思いますよ。
たとえば、融資や助成金は、法人であることが前提のケースが多いです。
それに会社であることで、取引先として選ばれる可能性も高まります。」
かなえ:「見えにくいところで会社の信頼性が効いてくるのは、今までのいちさんのお話を聞いてきてよく分かっているつもりです。
最初は不安も多かったですが、ひとつずつ理解する中で私も少しずつ自信が持ててきました。
コストだけでなく、信用や将来性も含めて総合的に判断できたからこそ、私は株式会社をつくって良かったと実感しています。
今回のお話も参考になりました!」