労働契約を締結 -はじめての雇用編3-

step3.労働契約の締結|雇用・労働契約を結ぶときに必要なこと

いち:「雇用が決まったら、いよいよ労働契約を結びます。
今回は、その際に必要な書類や注意点について説明しましょう。」

労働契約の前に準備すべき書類と確認事項

いち:「労働契約では、あらかじめ定めた労働条件を基に労働者と会社との間で正式な合意をします。
この時に必要になるのが、以下の書類です。」

◆労働契約の際に用意する書類◆

1 労働条件通知書・雇用契約書
2 誓約書
3 身元保証書

1.労働条件通知書・雇用契約書|違いと使い方

いち:「労働条件通知書は、“会社が一方的に労働条件を従業員に知らせる”ための書類です。
労働基準法で交付が義務づけられている書類で、必ず渡さなければなりません。」

かなえ:「なるほど。じゃあ、雇用契約書はどういうものなんですか?」

いち:「雇用契約書は、“労使双方で契約内容を確認し署名をする”書面です。
法律で作る義務はありませんが、合意の証拠になるので、労働条件の誤解やトラブルを防ぐために用意しておくのがおすすめです。」

かなえ:「つまり、通知書で会社の条件を伝えて、契約書でお互いに確認する、ということですね。」

いち:「その通りです。この二つを揃えておくと、あとでトラブルになるリスクを大きく減らせますよ。」

3.誓約書|守秘義務を明確にする誓約書の検討

いち:「会社の業務上の秘密を守るためには、誓約書で守秘義務を明確にしておくと安心です。
誓約書の目的は、情報漏洩を防ぐことと、もし問題が起きたときの法的責任をはっきりさせることです。」

かなえ:「従業員が情報を漏らした場合、会社としてはどんなリスクがあるんですか?
秘密を洩らした従業員に罰則はあるんですか?」

いち:「例えば、秘密が外部に漏れれば、会社の競争力が損なわれたり、取引先との信頼を失ったりするリスクがあります。

また、法的には、不正競争防止法違反として、従業員に10年以下の懲役や2000万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、損害が発生した場合には、不法行為に基づく損害賠償請求もしやすくなります。」

かなえ:「なるほど…。誓約書があると、トラブルのときに対応しやすくなるんですね。
在職中に会社の書類を持ち出して、再就職先で利用したなんて話をたまに聞きますけど、けっこう重い罰則になるんですね。」

いち:「その通りです。
誓約書がなくても罪に問われる可能性はありますが、誓約書があると証拠としても有効で、対処がよりスムーズになります。
在職中は気軽にコピーや持ち出しができそうですが、実は非常に大きなリスクがあるんですよ。」

4.身元保証書|トラブル時の備え

いち:「従業員が会社に大きな損害を与えた場合に備えて、身元保証書(身元保証契約)を求める会社もあります。
これは、連帯保証人に損害賠償の責任を負ってもらい、従業員本人が支払えない場合のリスクに備えるためです。
慣例として、連帯保証人が2人以上の会社もありますが、法律で人数が決まっているわけではありません。」

かなえ:「連帯保証人って、気軽に引き受けられる立場じゃないですよね…。
家族や親せきに頼まれたら断れなさそうで心配です。」

いち:「確かに重い責任ですが、身元保証契約が適用されるのは、通常、従業員の故意や重大な過失による損害に限られます。
つまり、ちょっとしたミスでは請求される可能性は低いんです。
さらに、法律で契約期間も最長5年までと決まっていて、更新はできますが無期限には続きません。」

かなえ:「それなら、頼まれたとしても少し安心できますね、ほっとしました。」

いち:「加えて、2020年4月の民法改正で、身元保証契約には“極度額(上限額)”を定めないと契約自体が無効になるようになりました。
ですから、無制限に請求される心配もなくなったんですよ(民法465条の2)。」

まとめ|信頼関係のスタートはここから

かなえ:「こうして説明を聞くと、労働契約ってただの形式じゃなくて、会社と従業員、どちらを守るためにも必要なんだと気づきますね。」

いち:「その通りです。労働契約書をはじめとする書類は、信頼関係を支える大切なツールです。
だから、一枚一枚に正確さと従業員への思いやりを込めることが、後々のトラブル回避につながるんです。」

かなえ:「会社や仕事って、結局は人と人との関係ですもんね。
お互いが安心してスタートできるように、労働契約はしっかり準備するべきなんですね。」

いち:「その理解があれば大丈夫です!
次回は、Step4の社会保険等の届け出と必要書類についてお話ししましょう。
社員に安心して働いてもらうためにも、とても重要な内容ですよ。」

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