社会保険等の届け出・必要書類 -はじめての雇用編4-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢を無事かなえたWEBデザイン会社経営の女性 ー会社設立編はこちら

※文中の赤文字は用語です

step4. 社会保険等の届け出|雇用後に必要な社会保険・労働保険の届け出と書類管理

かなえ:「人を雇ったあとには、どんな届け出をしなきゃいけないんでしょうか?
それに会社で管理しなければいけない書類にはどんなものがあるかも気になります。

会社設立のときのような書類の山を想像してしまうんですけど…」

いち:「決まっていることを粛々とこなすだけですから心配しなくても大丈夫ですよ。
人を雇ったときは、労働保険や社会保険などのいくつかの公的な届け出が法律で決まっています。
これらは会社の責任として必ず行わなければならない重要な手続きなんです。」

かなえ:「重要な手続きですか。
間違いがあるとどうなるんですか?」

いち:「正しく届け出をしないと、罰則があったり、従業員の保障が受けられなくなったりするリスクはあります。
なので今回は間違いが無いように届け出の種類や提出先、期限などを分かりやすく解説しますね。

併せて会社で管理をしなければならない書類も説明しましょう。」

雇用後すぐに必要な届け出一覧|社会保険・雇用保険・労働保険

いち:「以下は必ず公的機関に届けなければならないものです。」

会社が必ず行う公的手続き一覧|提出先・期限・概要

名称期限届け出先概要
雇用保険被保険者資格取得届雇用した日から10日以内ハローワーク
(公共職業安定所)
新たに労働者を雇用した際に提出する雇用保険加入手続き
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届資格取得日から5日以内日本年金機構健康保険と厚生年金保険の被保険者手続き(条件を満たす労働者)
労働保険概算保険料申告書新規事業開始から概ね50日以内労働基準監督署
またはハローワーク
労災保険・雇用保険の保険料見込み額の申告(新規事業など)
労働保険年度更新申告書毎年6月1日〜7月10日ハローワーク・労働基準監督署前年実績に基づく労働保険料の申告・納付(毎年必要)
就業規則の作成・届出
(常時10人以上の事業所)
労働基準監督署従業員10人以上の事業所は就業規則を作成し届出

会社が法的に保管すべき労務関連書類とは?

いち:「また、会社内で管理する法的義務のあるものも挙げておきましょう。」

書類名法的根拠保存期間概要
労働者名簿労働基準法第107条退職後3年間従業員の基本情報・履歴・雇入日などを記録
賃金台帳労働基準法第108条3年間賃金・手当・控除額などを記録
出勤簿・タイムカード労働基準法第109条3年間労働時間の実績を記録する帳簿
労働条件通知書労働基準法第15条明記なし(3年程度が目安)労働条件の明示書類
※本人に交付義務あり
就業規則労働基準法第89条常時備え付け常時10人以上の事業場に作成・届出義務あり
36協定書労働基準法第36条有効期間後3年間時間外労働の合意書。労基署に届出・保管が必要
健康診断結果労働安全衛生法5年間定期健康診断などの記録(産業医の意見書含む)
労災保険関連書類労災保険法3~5年間労災発生時の報告書や請求書など
年次有給休暇管理簿労基法施行規則3年間有給休暇の取得日数・残数などの記録

トラブル防止に役立つ実務上のおすすめ書類

いち:「以下は法的義務はなく、作成が任意ではありますが、実務上重要なものです。
トラブルを避けるためにも作成を推奨します。」

書類名概要
雇用契約書労働者と会社双方が署名する契約書。トラブル防止のため作成推奨
誓約書守秘義務・競業避止義務など、法令順守を誓約する書面
身元保証書従業員による損害に備えて連帯保証人を付ける書面(上限額の記載が必要)
社会保険関係届出の控え健康保険・厚生年金・雇用保険の加入届などの控えを保管
雇用保険被保険者台帳ハローワーク提出後の被保険者記録の写し

まとめ|雇用をするまでの手続きはこれで完了

かなえ:「ふう…、やっぱり種類の山になりそうですね。」

いち:「確かに種類は多いですが、提出先ごとに整理しておけばそれほど難しくはないと思いますよ。」

かなえ:「はい、書類の意味と目的を知っておくと、やるべきことがはっきりします。
いつも思いますけど表になっていると助かりますね。
書類のチェックリストを作って、一つずつ確認していくようにします!」

いち:「それはとても良い方法ですね!

では今回で雇用をするまでの手続きは完了です。

次回で雇用のお話は最後になります。
step5. 退職時の手続きです。
社員が退職した際に慌てないためにもあらかじめ覚えておくべきことを説明しておきましょう!」

かなえ:「よろしくお願いします!」

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