定款の認証をしてもらう -ひとり会社設立編9-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った

定款の認証とは?|手続き・必要書類・費用を解説

かなえ:「協力をしていただいたおかげで何とか定款を作れました!」

いち:「素晴らしいです。かなえさんの努力の成果ですね。
では次の段階にいきましょう!」

かなえ:「次は定款の認証ですね。」

いち:「はい。定款は作ったら効力を発するものではありません。
株式会社を設立するには、作成した定款を公証人に見てもらって、この定款は法律的に問題ない、というお墨付きをもらう必要があります。
これを定款の認証というんです。」

かなえ:「作ったらOK、というわけではないんですね。
定款の認証はどこでしてもらったらいいんですか?」

いち:「基本的には、公証役場に行って手続きをします。
公証役場は全国にありますが、通常は本店所在地と同じ都道府県内の役場(ない場合は近隣の主要都市)を利用します。」

かなえ:「…じゃあ早速今日にでも行ってこようかな。
早い方がいいですよね?」

いち:「早い方がいいのは間違いないんですが、定款の認証には原則として事前予約が必要です。
公証人のスケジュールが埋まっていてなかなか予約ができない事も考えられるので、電話やメールで早めに予約を取っておきましょう!」

かなえ:「思い立ったらすぐに認証をしてもらえるものではないんですね。」

定款認証に必要な書類一覧と取得方法

いち:「それでは、認証に必要な書類がいくつかありますので、そちらをご案内しましょう。」

必要書類紙定款の場合電子定款の場合
定款原本(3通)実印押印の紙定款を3通提出電子署名付きPDFファイルを公証役場に事前送信
発起人の印鑑証明書(各1通)取得3ヶ月以内の原本提出
※発起人が法人の場合は登記簿謄本も必要
紙定款と同じ
※郵送または持参
発起人の実印各自実印で押印不要
※電子署名で代替
実質的支配者となるべき者の申告書提出必須紙定款と同じ
顔写真付きの公的身分証明書(1点)本人来所時に提示
※代理人に依頼する場合は代理人本人の身分証明書1点が必要
郵送やオンライン確認で対応可能
定款認証手数料50,000円
※資本金額により変動
50,000円
※資本金額により変動
印紙税(収入印紙)40,000円0円
定款謄本交付手数料紙謄本1枚250円×ページ分
※20ページなら5,000円程
CD-R300円(紙謄本可)
※PDFデータとして作成されるが、登記や金融機関提出のために、謄本として交付してもらう必要がある

かなえ:「なるほど。定款が3通も必要な理由は何ですか?」

いち:「まずは、公証人役場の保管用定款が一通。
こちらの表紙の裏ページ中央に印紙税4万円分の収入印紙を貼付しましょう。
残りの二通は、登記の際に法務局へ提出するものと、会社の保管用です。

会社保管用の定款は、コピーをして使う機会(法人口座の開設など)がこれからもありますので、忘れないところに保管をしておくと手続きがスムーズに行えますよ。」

かなえ:「分かりました、気を付けます。
定款認証手数料は、資本金の額によって変動とありますけど、もっと安くなったり高くなったりすることがあるんですか?」

いち:「はい、定款認証手数料は資本金の額によって違うんです。
資本金300万円で株式会社を設立するのかなえさんの場合は、上限の5万円になります。」

資本金印紙税
100万円未満3万円
100万円以上300万円未満4万円
300万円以上5万円

まとめ|定款の認証は代理人でもOK

かなえ:「ふう、最近は、今の会社の仕事の引継ぎに…、会社設立手続き、開業準備、事業プランの再確認と…かなり忙しくなってきました。」

いち:「今は一番大変な時期ですよね。
定款の認証は、原則公証人役場への発起人本人の持参なのですが、都合がつかない場合は代理人に任せることができます。
その際には委任状が必要になりますが、委任の意思が書かれていれば、委任状は簡単なもので問題ありません。
私が代わりに提出することもできますので、お忙しいようでしたら遠慮なくおっしゃってくださいね!」

かなえ:「ありがとうございます!そう言われるとつい頼りたくなりますね。
でも初めての会社設立なので、できるところまでは自分でやってみたいと思います。
何とか頑張って続けてみます!」

いち:「あまり無理せずに頑張って下さいね。
では次回は資本金の払い込みについての説明をいたしましょう!」

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