事業計画書ってなに?・事業計画編ⅠⅤ

ゆうき

起業までの流れが分かってきました。
でもうまく計画を立てて実行できるのか不安があります。

いち

事業計画書(創業計画書)にまとめたらいいですよ!

ゆうき:「事業計画書?」

いち:「これが事業計画書(創業計画書)です。」

※日本政策金融公庫

ゆうき:「うーん…難しそうですね。」

いち:「事業計画書は必ず作らなければいけないものではないんですが、事業計画書を作ってみると今まで気がつかなかった事業の弱みや見込み違いの部分など、様々なものが浮き彫りになると思います。それに融資の際に提供を求められることがありますし、作っておいた方が何かと有益なんです。」

ゆうき:「(創業計画書を見ながら)一から考えるのは大変だなと思っていたんですが…見てみるとこれまでいちさんとお話ししてきた内容でほとんど埋まりますね。
でも事業を始める前だとなかなか正確に記入をすることが難しい箇所もあります、お金の部分とか。」

いち:「初めに作る事業計画書はそこまで正確じゃなくても業界の一般的な金額で算出してもいいと思いますよ。」

ゆうき:「それでいいんですね、事業を始める際にはぜひ作ってみようと思います!」

新規開業実態調査

いち:「最後に日本政策金融公庫総合研究所が発表している2023年新規開業実態調査の結果を見てみましょう。」

○ 開業者の約9割が直前の勤務先を自らの意思により退職
開業直前の勤務先を離職した理由は、「自らの意思による退職」が88.7%を占め、2021年度(83.8%)、2022年度(86.6%)より増加している。
「勤務先の倒産・廃業」「事業部門の縮小・撤退」「解雇」を合わせた「勤務先都合」による離職は7.5%となった。

○ 開業費用は少額化の傾向
開業費用の分布をみると、「250万円未満」の割合は20.2%、「250万~500万円未満」は23.6%となった。開業費用の平均は1,027万円で、長期的にみて少額化の傾向にある。

○ 売り上げが「増加傾向」の開業者は約6割
現在の売り上げ状況が「増加傾向」である開業者は58.6%と、2021年度(44.4%)、2022年度(52.4%)に比べて割合が高くなっている。現在の採算状況は、「黒字基調」が64.7%、「赤字基調」が35.3%となっている。

○「資金繰り、資金調達」や「顧客・販路の開拓」などが課題
開業時に苦労したことは、「資金繰り、資金調達」が59.6%と最も多く、次いで「顧客・販路の開拓」が48.5%、「財務・税務・法務に関する知識の不足」が37.5%となっている。現在苦労していることは、「顧客・販路の開拓」(49.5%)、「資金繰り、資金調達」(37.0%)、「財務・税務・法務に関する知識の不足」(32.2%)の順に多い。

○ 開業に「満足」している開業者が7割以上
開業の総合的な満足度をみると、「かなり満足」(26.3%)と「やや満足」(47.0%)を合わせた「満足」が73.3%に上る。「満足」の割合を項目別にみると、仕事のやりがい(自分の能力の発揮)で83.4%と高く、ワークライフバランスは51.5%、事業からの収入は25.5%となっている。

引用元 日本政策金融公庫総合研究所 2023年新規開業実態調査まとめ

いち:「このデータは日本政策金融公庫が融資した先1,789社(開業時個人企業60.4% 法人企業39.6%)が元になっているので比較的起業の本気度が高い会社だったといえます。
日本政策金融公庫に事業計画書を精査されているので事業計画に穴は少なかった、とも考えられますね。
それでも開業後の課題は多く、赤字の事業者が35.3%もいます。」

ゆうき:「簡単には成功できないということがよく分かりますね…」

いち:「でも、注目すべき点は開業に満足している人が先のデータとは反対の70%以上もいることです。
その理由のなかで、83.4%の人が仕事のやりがいや自分の能力の発揮に満足していることが挙げられています。
つまり、たとえ経済的に厳しい状況に直面しても、仕事そのものの充実感や自己実現が大きな満足につながっているということですね。」

事業計画編まとめ

いち:「自分がやりたい事業が自分ができることであり、それが人から求められるものでなければ成功をする確率はかなり低くなります。
中小企業庁のデータでは創業からわずか5年の間に6割程度の会社が廃業しているといいます。
事業は続かないケースの方が多いということは頭に入れておくべきかと思います。」

ゆうき:「今はSNS等で会社の成功者の話を聞く機会が増えたので何となく起業を夢見る人が多くいそうですね、かくいう自分もそのケースかも…」

いち:「実は日本では起業を夢見る起業予備軍は年々減ってきているといわれているんですよ。
様々な社会状況や社会保障が影響しているのだと思いますが…
そんななか難しい道へ行くと自覚していて、それでも不安を乗り越えられるほどの思いのある事業を見つけた人は強いと思いますよ。
ゆうき君もそんな事業を見つけたいですね!」

ゆうき:「まだ大学生で時間はあるのでじっくりと考えてみます!」