NPO法人の設立と運営Q&A -NPO法人設立ガイド番外編ー

NPO法人の人的問題Q&A

ゆうき:「順調に物事が進めばいいんですけど、スムーズに進まずに困ることも出てくるかもしれません。
NPO法人はメンバーが10人以上と多いので、特に人間関係のトラブルが心配です。
誰にでも当てはまりそうな質問をいくつか考えてきたんですが、答えていただいてもいいでしょうか?」

いち:「はい、もちろんです!どんな質問ですか?」

Q1 設立時に集めたメンバーが設立後すぐにやめても大丈夫か?

ゆうき:「まずは第一の質問です。
設立時に集まったメンバーが設立後すぐに辞めてしまって、設立時の要件である初期メンバー10人以上を満たせなくなってもNPO法人は継続できるのでしょうか?」」

いち:「わざとではなくとも、意図せず、辞めなくてはいけないケースはあるでしょう。
答えはYESです。どちらにせよ、設立後すぐにやめても問題ありません。
認証時点で10名以上の認証要件を満たしていればNPO法人は維持できます。
ただし、大量に退会する場合には、事業実態がないと判断されてしまうことがある等、ケースによっては維持が難しくなることがあります。リスクが全くないとは言い切れません。」

Q2 理事が活動に非協力的、または音信不通の場合、解任できる?

いち:「NPO法人社員が、役員を解任できるか、という問題ですね。
はい、社員総会で出席社員の過半数の議決により解任できます。
ただし、正当な理由がない解任はトラブルになるため、避けましょう。
議事録には具体的な経緯と理由を明記することが大切です。

また、NPO法第22条に、“理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない”という規定がありますので、こちらに該当する場合は補充が必要です。」

Q3 会員が年会費を払わなくなった場合、自動的に退会扱いになる?

いち:「これも頭を悩ませる問題ですよね。
定款にその規定(例:「会費未納が○年続いた場合は退会とみなす」)がなければ、自動退会にはなりません。
また、社員(会員)が長期間連絡が取れなくなった場合なども同様です。
定款や会員規約で明確にしておく必要があります。」

Q4 会員同士で意見が対立して活動が止まってしまった場合、代表理事の決定に従うという文言を定款に書くことは可能?

いち:「これは慎重に判断するべき問題です。
定款に、理事の決定に従うと明記することは可能ですが、注意が必要です。
前提として、NPO法人における最終的な意思決定権は、社員総会にあります(NPO法第14条の5)。
理事会はあくまで執行機関であり、社員総会で定めた方針に基づいて事業を行う立場です。
なので、“社員総会の決議事項を超えて理事が最終判断する”ような文言は、法の趣旨に違反するおそれがあります。

一方で、運営ルールや実務上の方針決定を理事に委ねる旨を内規や細則で定めることは可能です。
定款への記載は、“日常的な運営に関する事項については理事会の決定に従う”といった表現にとどめ、“理事の決定に従うことを義務とする”などの強制的な表現は避けるのが無難です。」

Q5 理事同士で結婚して、NPO法人の親族制限の要件を満たせなくなった

いち:「同じ考えで一緒に活動しているのですから仲が良くなって結婚…なんて十分ありそうな話ですね。
結論は、残念ながら親族制限規定に反します。
結婚によって理事や監事の中で親族が3分の1を超えると、違反状態になってしまいます。
ただし、すぐに解散というわけではありません。
次の改選や臨時社員総会などで、役員構成を見直す必要がありますね。」

Q6 会員がSNSなどで法人を批判した場合、除名できますか?

いち:「よくありそうな問題ですね。
結論としては、内容によります。
“公益法人として、信用を著しく害する行為”(例:SNSで特定の理事や会員を誹謗中傷する行為等)であれば除名事由になり得ますが、単なる意見表明(例:方針や事業に関する批判的意見の表明等)に対しての除名は不当とされます。」

Q7 会費を多く出している会員の発言権や議決権を増やせますか?

いち:「株式会社的な考え方ですが、NPO法人ではこのような優遇はできません。
NPO法上、正会員の議決権は“1人1票”が原則です。
出資額によって差をつけるのは法の趣旨に反してしますので、NPO法人では違法となります。」

NPO法人の運営問題Q&A

ゆうき:「次は運営上起こりそうな問題への疑問に答えていただけますか?」

いち:「はい、お答えします!」

Q8 会員が法人の名を使って個人の活動をしている場合、法人として責任を負いますか?

いち:「まず、法人が黙認している場合は注意が必要です。外部から見ると、理事が行った行為と誤認され、損害賠償などの責任が法人にも及ぶ可能性があります。」

ゆうき:「では、法人が容認していなかった場合、無断で活動した本人の責任はどうなるんですか?」

いち:「理事と一般会員で少し違います。整理するとこうなります。」

法人名無断使用の主体法人の責任個人の責任補足
理事状況により一部負う可能性あり高い
(無権代理・不法行為責任、損害賠償の可能性)
理事は法人の顔とみなされるため、外部から代表権ありと誤認されやすい。
放置すると法人側も影響を受ける可能性大。
一般会員原則なし高い
(虚偽表示・信用毀損、不法行為、損害賠償の可能性)
法人名の使用を禁止している場合、無断使用は個人責任。
法人は明確に関与否定を文書化して対応する。

Q8 理事会の開催案内をメールで送ったが、1人が既読無視。開催は有効?

いち:「定款に“理事会の開催は書面または電磁的方法”と定めてあれば有効です。
仮に、受信確認が取れていない場合は、通知されていないと主張されるリスクがあり、後日トラブルになることもあり得ます。
再送や電話確認をおすすめします。」

Q9 監事が理事と一緒に事業を進めているが、問題はある?

いち:「小さくて人員の足りないNPO法人ではありそうな話ですね。
そもそも監事は理事の職務執行を監査する立場です。
実務協力程度なら問題ないでしょうが、企画運営や金銭処理に関わると、監事の独立性が疑われる要因となり、所轄庁から指摘を受ける恐れがあります。

Q10 法人の代表印の押印が必要だが、理事長が不在で押印してもらえない。代わりに押してもいい?

いち:「原則ダメです。
定款や理事会決議で代理権限を与えられていない限り、他の理事が押すと“無権代理”になって民事上の責任を負う可能性があります。
定めていない場合の緊急時は、代理権付与決議をとるのが無難です。」

Q11 社員総会での議決結果を理事が「自分に都合よく」議事録に書き換えたら?

いち:「これはアウトです。
議事録は公文書なので、公文書偽造の罪になる可能性があります。
発覚したら、議事録署名人が確認して修正を求め、修正版を全理事に回付・保存すること。
監事が気づいた場合は、所轄庁への報告義務があります。」

まとめ|NPO法人を運営する上でのコツはありますか?

ゆうき:「最後に、NPO法人を運営する上でのコツはありますか?」

いち:「はい、いくつか考えられます。
Q&Aでもお答えしたことも含まれていますが、以下に整理しておきましょう。」

NPO法人運営のコツポイント例・補足
1 定款・細則を運用前提で作るトラブル想定の条項を盛り込む例:会員の退会・除名ルール、法人名の使用ルール、理事会の議決方法等
2 議事録・決議をきちんと残す発言の要点・反対意見・決議結果を記録法的証拠や内部管理に必須
(署名、押印、電子承認等の確認も忘れずに!)
3 役割分担と権限を明確にする理事・監事・事務局の職務・権限を明確化代表印や銀行口座、契約権限を誰が持つか決める
4 会員・役員との情報共有をこまめに通知は議事録・メールで公式に残すメールだけでは誤解や無効のリスクあり
5 内規・細則で日常運営ルールを決める日常運営の手順や禁止事項を明文化会員や理事の行動ルール、会費徴収、緊急時判断フロー等
6 透明性を意識する年次報告や収支報告を開示信頼性向上、誤解や批判の回避に効果あり
7 トラブルは早めに対処対立や不正行為は早期発見、早期対応放置すると事態が大きくなり所轄庁指導の対象にもなる
8 小さな成功体験を積み重ねる初期事業は無理なく成功できる規模で成功体験を会員で共有すると信頼関係と協力体制が強化される

ゆうき:「以上です。どうもありがとうございました!また疑問が出てきたら質問させてください!」

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