登場人物紹介
いち
行政書士事務所所長の行政書士
ゆうき
事業を始めたいと漠然と考えていた大学生。現在起業準備中。ゼロからの事業計画編はこちら
申請・認証フェーズ(Step8~10)
🟠申請・認証フェーズ(Step8~11)
Step8 所轄庁へ設立認証申請
Step9 登記準備(NPO法人の印鑑を作成)
Step10 NPO法人設立登記(法務局)“NPO法人設立”
Step11 NPO法人設立登記後の義務
NPO法人設立認証はなぜ必要なの?
ゆうき:「NPO法人を設立するには認証を受けなければならないんですよね。」
いち:「はい。NPO法第10条で、NPO法人は“所轄庁の認証を受けて登記することで成立する”と定められています。
つまり、認証がなければ法人格は得られず、NPO法人と名乗ることはできないんです。」
ゆうき:「公益性の高いNPO法人ならではの仕組みですね!
でも…もし認証されなかったら今までの苦労が水の泡ってことですか?
申請までいくまでにかなりの時間を費やしていると思うのですが…。」
いち:「残念ながら不認証となった場合には、理由を記した書面が届きます。(NPO法第12条)
不認証の内容が、書類の不備などの修正可能なものなら、直して再申請が可能です。
ただし、根本的な要件を満たさない場合は、設立を断念しなければならないケースもあるでしょう。
では、不認証になった過去のケースをいくつか挙げてみましょうか。」
過去にあったNPO法人設立認証申請が不認証になったケース
| 主な理由 | 内容 | 問題点ピックアップ |
|---|---|---|
| 活動目的が不適格 | 活動内容がNPO法の20分野に含まれず、公益性・非営利性が不明瞭 | 営利団体になっている? |
| 社員の得喪条件に不当な制限 | 社員(正会員)の加入・退会に過度な制限を設け、法要件に違反 | 団体で独自の違法なルールを作っている |
| 書類不備・整合性欠如 | 定款と議事録の不一致、日付のズレ、記載漏れ、押印不足など | 制度に則って正確に申請をしていない |
| 役員構成の要件違反 | ・社員が10名以上、理事3名以上、監事1名以上がいない ・親族が理事の過半数を占める等 | 設立要件を満たしていない |
Step8 所轄庁へ設立認証申請
いち:「そもそもNPO法人の設立認証申請が通らなければ、NPO法人の設立はできません。
今までやってきたことの多くは、このStep8のためにあったといっても過言ではないと思います。
設立認証申請は、以下のように行います。」
【申請先】
主たる事務所所在地の都道府県知事
※政令指定都市の場合は市長
【縦覧(公告)期間】
申請書が受理されると、2か月間、一般に縦覧されます。
縦覧は、“公益性のある事業を一般に広く知らせる”ということが目的。
縦覧期間中に、市民などから意見書が提出されることもあります。
【認証通知】
縦覧終了後、認証・不認証が決定され、認証書が交付されます。
| 設立認証申請必要書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 1 設立認証申請書 | 所轄庁所定の様式(「第1号様式」など) |
| 2 定款 | 公証人役場での認証は不要 |
| 3 役員名簿 | 理事・監事の氏名、住所、報酬の有無などを記載 |
| 4 各役員の就任承諾書・誓約書 | 役員就任の承諾の意思表明、欠格事由に該当していないこと、役員数の親族制限規定に違反していないことを誓約する書面 |
| 5 各役員の住所(居所)を証する書面 | 申請の日から6か月以内の住民票の写し |
| 6 社員名簿 | 設立時社員の氏名・住所(10名以上必要) |
| 7 確認書 | 宗教活動、政治活動、選挙運動、また暴力団に関係した団体ではないことを設立総会で確認したことを宣言する書類 |
| 8 設立趣旨書 | 設立の目的・活動内容を説明する書面 |
| 9 設立総会議事録の謄本 | 設立総会等の意思決定を記録したもの |
| 10 事業計画書(初年度・翌年度) | 当初の事業内容を示す計画書 |
| 11 活動予算書(初年度・翌年度) | 収支見通しを示す予算書 ※自治体によっては単年の場合も |
各種書類のテンプレートはこちら(東京都生活文化局)
Step9 登記準備|NPO法人の印鑑を作成
いち:「設立認証申請が通れば、次は設立登記です。
設立登記で使用するので、前もって以下の印鑑を作成しておきましょう。
| 印鑑の名称 | 印鑑の形式ルール | 作成必要かどうか |
|---|---|---|
| 代表者印・法人実印(丸印) | あり | 必要(登記の際に印鑑証明登録必要) |
| 法人印(角印) | あり | 必要(実務上利用機会が多い) |
| 代表理事の個人印 | なし | 必要(登記の際に印鑑証明登録必要) |
| 銀行印 | なし | 必要(実務上利用機会が多い) |
| 法人名入りのゴム印 | なし | 任意 |
各種印鑑を用意する上での注意点
ゆうき:「印鑑の作りにはルールがあるものがあるんですね。
注意点を教えてもらえますか?」
いち:「法人実印(代表者印)と代表者の個人印は、登記で必要になるので必ず作っておきましょう。
代表理事が複数人いるの場合は、一つでも人数分用意してもかまいません。
角印・銀行印は法的義務ではないものの、契約締結や銀行口座開設で通常用いられる印鑑のため、実務上必須となります。
ゴム印は、法人名や住所、電話番号などが刻印されているものです。
作成は任意ですが、事務効率向上のためにはあったほうがいいでしょう。
各印鑑は、株式会社とほぼ同じ(名称のみ違う)ですので、会社の印鑑をつくる。ひとり会社設立編7を参考にしていただくと分かりやすいと思います。」
Step10 NPO法人設立登記(法務局)
いち:「設立の認証がされたら、次は設立登記を行います。
登記の完了をもって、NPO法人が設立されます。」
ゆうき:「ここで今までの苦労が報われるわけですね!」
いち:「まだまだやることはありますけど、ここで大きなヤマを越えたことになりますね!
登記が完了したら、登記事項証明書3通(提出用1通+控え+法人口座設立用)、法人の実印印鑑登録証明書(1通)を取得しておきましょう。
のちの手続きである、設立登記後の所轄庁への届出や、法人口座の設立に必要になります。」
【期限】
所轄庁から設立認証を受けてから、2週間以内に、主たる事務所所在地を管轄する法務局で登記します。
株式会社にある(最低15万円必要)登録免許税は、収益事業を行う場合でも、NPO法人は非課税です。
登記完了をもって法人格を取得します。
| NPO法人設立登記必要書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 1 設立登記申請書 | 法定書式(テンプレートあり)で作成。法人名、本店所在地、登記事項を記載 |
| 2 登記用紙/電子申請データ | 法務局指定の用紙または電子申請方式 |
| 3 印鑑届書 | 法人印(実印)を法務局に届け出る書類 |
| 4 設立認証書のコピー(+原本提示) | 所轄庁が交付した認証書を添付 |
| 5 定款のコピー(+原本証明) | 原本証明を添付することが多い |
| 6 代表権を有する者の資格証明書類 | 代表理事の就任承諾書・誓約書など |
| 7 設立当初の財産目録 | 設立時点での資産・負債の一覧 |
| 8 代表者の印鑑証明書 | 代表理事の実印証明を添付 |
| 9 法人の実印 | 申請書類へ押印が必要 |
| 10 議事録のコピー | 理事会・設立総会の議事録(設立意思決定を示すもの) |
| 委任状 | 代理人が登記申請を行う場合に必要 |
ゆうき:「NPO法人の認証審査が通っても、2週間以内に登記をしないと設立ができないんですね。
万が一期限内に登記ができなかったらどうなるんでしょうか。」
いち:「2週間が過ぎたからといって自動的に設立認証が取り消されるわけではありません。
しかし、6か月が過ぎても登記をしていないと認証が取り消されることがあります。
早めに行うに越したことはありませんね。(NPO法第13条3項)」
Step11 NPO法人設立登記後の義務
いち:「登記が完了してNPO法人が成立したら、所轄庁(主たる事務所所在地の都道府県知事
・政令指定都市の場合は市長)への届出をしなければなりません。
法律上の日数指定はありませんが、登記完了後すぐに提出することが推奨されています。」
| 必要書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 1 設立登記完了届出書 | 登記完了を知らせるこの書面が必要です。 各自治体で様式が異なります。 |
| 2 設立当初の財産目録 | 財産の把握のため |
| 3 登記事項証明書 | 法務局で「設立登記」が完了したら受け取れます |
各種書類のテンプレートはこちら(東京都生活文化局)
ゆうき:「所轄庁に登記の完了を知らせる必要があるのは、会社登記と一緒で“法務局から自動的に所轄庁に設立の連絡がいくわけではない”ということから、理解ができます。
でも、添付書類に財産目録があるのはなぜですか?」
いち:「設立時の財産状況を確認して、認証内容との整合性を確認するためです。
NPO法人は、“営利を目的としない”ことから、設立時の財産状況が適正であるかどうかを所轄庁がチェックする必要があります。
登記添付書類と同じものを所轄庁が保有することで、財産内容の整合性を確認をすること、これが目的になっているんですよ。」
まとめ|会社設立よりもNPO法人設立は注意点が多い
ゆうき:「今回の説明は、NPO法人を作る過程の中で特に重要な内容になっていましたね。」
いち:「そうですね。会社設立時と比べて、一言一句の整合性を求められたり確認過程が多かったりと、きちんとルールに則ってやらなければいけない事が多いので、予備知識がなく始めると苦労するかもしれません。
こんなところがお役所は融通が利かないと批判される理由なのかもしれませんね。」
ゆうき:「でも、融通が利かないのは内容を理解すると分かるような気がします。
でも、ルールがきっちりとしている分、一度理解してしまえばその通りに進めるだけでいいので作成は難しくはないんじゃないでしょうか。」
いち:「それは頼もしいですね!では次回は、登記後・開始フェーズ(Step11~12)の説明をしましょう。
NPO法人は設立しましたが、運営を行う上で大切な手続きをいくつか説明をします。」

