登場人物紹介
いち
行政書士事務所所長の行政書士
ゆうき
事業を始めたいと漠然と考えていた大学生。現在起業準備中。ゼロからの事業計画編はこちら
登記後・開始フェーズ(Step11~12)
🟢登記後・開始フェーズ(Step12~13)
Step12 法人口座開設
Step13 税務署等に各種届出を行う
Step12 法人口座開設
いち:「法人格取得後は法人名義の口座を開設できます。
株式会社の法人口座に必要な書類と違う、NPO法人特有のものがいくつもあるので注意が必要です。」
| 書類名 | 発行機関 | 内容・注意点 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局(設立登記後) | 発行後3か月以内のものを提出 |
| 法人印の印鑑証明書 | 法務局 | 発行後3か月以内のものが有効 |
| 定款の写し | 紙定款の場合は原本証明付き、電子定款はPDF写し提出で可 | |
| 設立認証書 | 所轄庁 | NPO法人の認証を証明する書類。 公益性確認のため必須。 |
| 代表理事の本人確認書類 | 運転免許証またはマイナンバーカードなど | |
| 銀行印(銀行によっては、代表理事の個人印) | 一部の銀行は、代表理事の印鑑証明書の提出を求める場合があります | |
| 理事会議事録または設立総会議事録 | 代表理事選任の事実を確認するために提出 | |
| 役員名簿 | 現在の理事・監事を記載。 定款内容と整合していること。 | |
| 事業計画書・収支予算書 | 活動内容と資金見通しを確認するため、設立時に求められる | |
| 設立当初の財産目録 | 法務局登記添付書類と同一のものを提出。 初期資産の確認のため。 | |
| 所轄庁への届出完了がわかる書類 | 自治体で名称が異なります。 | |
| 法人番号指定通知書 | 国税庁 | 原本提示を求める金融機関もある。 |
※金融機関により内容が変わる場合があります。要確認。
Step13税務署等に各種届出を行う
いち:「最後に、各行政機関へ届け出を行いますが、社会保険の加入義務の判断には注意が必要です。
一般的に、NPO法人は年金・健康保険の適用事業所となりやすく、“常勤で報酬を受ける理事”や従業員がいる場合には、新規適用届・被保険者資格取得届などの加入手続きが必要になります。
ただし、登記直後で“無報酬のみの役員”しかいない場合など、被保険者が存在しないと判断されると年金機構で適用手続きが受理されないことがあります。
以下の基準により、扱いが異なるのが実情です。
1 役員の常勤性・報酬の有無
2 常勤従業員の人数
3 所轄の年金事務所の判断
年金事務所の判断が運用に大きく影響しますので、設立時には所轄年金事務所に事前相談して、設立直後の構成(常勤理事の有無・報酬、従業員予定)を伝え、加入要否と提出書類について確認することをおすすめします。」
各種届出比較表(株式会社・NPO法人)
※名称が同じものは、会社設立後の各種届出。ひとり会社設立編14が参考になります。
| 提出書類 | 株式会社 | NPO法人 |
|---|---|---|
| 設立届出書(国税) | ●法人設立届出書 【義務】あり 【期限】設立日から2か月以内 【提出先】税務署 添付:定款コピー・法人事業概況説明書 | 同じ |
| 自治体への設立届 | ●事業開始等申告書(自治体により名称が違う場合あり) 【義務】あり 【期限】設立日から15日〜1か月以内(自治体による) 【提出先】都道府県税事務所・市区町村税務課 | 同じ |
| 給与支払関連 | ●給与支払事務所等の開設届出書 【義務】あり(役員報酬のみでも必要) 【期限】開設日から1か月以内 【提出先】税務署 | 同じ |
| 社会保険関連 | ●健康保険・厚生年金新規適用届 【義務】あり(常勤で報酬を受ける役員1名でも加入対象) 【期限】設立後5日以内 【提出先】年金事務所 | 職員を雇用し常時適用要件を満たす場合に義務があり |
| 雇用保険関連 | ●適用事業所設置届 【義務】従業員を雇用する場合 【期限】雇用の翌日から10日以内 【提出先】ハローワーク | 同じ |
| 労働保険関連 | ●労働保険保険関係成立届 【義務】従業員を雇用する場合 【期限】成立から10日以内 【提出先】労働基準監督署 | 同じ |
| 所轄庁への報告 | 特になし | ◎設立登記完了届出書 ◎設立当初の財産目録 ◎登記事項証明書 【期限】登記完了から遅滞なく 【提出先】所轄庁(都道府県または政令市) |
| 青色申告の承認申請 | 【任意】青色申告を行う場合 【期限】設立日から3か月以内または第1期決算日の前日まで 【提出先】税務署 | 同じ |
| その他(消費税) | ●課税事業者選択届出書 【任意】消費税還付を受ける場合 【期限】課税期間開始前日まで 【提出先】税務署 ●適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス) 【任意】インボイス発行事業者になる場合 【期限】登録希望日の前日まで 【提出先】国税庁 | 収益事業が対象。 収益事業を行わない場合は対象外。 |
まとめ|NPO法人には毎年、事業報告の義務がある
ゆうき:「今までお話をうかがってきて、NPO法人がかなり明確になってきました。」
いち:「それは良かったです。会社よりも手順が複雑で、さらには厳格な基準があるので驚いた内容もあったんじゃないですか?
NPO法人設立の説明は今回で最後になりますが、NPO法人には法人設立後にも毎年の事業報告義務が課せられていたり、NPO法人のその先があったりとまだまだ知っておかなければならないことがあります。
もう少し説明を続けていきたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
ゆうき:「NPO法人のその先?
毎年の事業報告義務の内容も興味がありますね!ぜひ聞かせてください!」
いち:「では順を追ってお話ししましょう。
次回は、NPO法人の毎年の事業報告義務を説明します。」

