NPO法人には“毎年の事業報告義務”がある -NPO法人設立ガイド7-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
ゆうき
事業を始めたいと漠然と考えていた大学生。現在起業準備中。ゼロからの事業計画編はこちら

NPO法人設立後の話|毎年の事業報告義務

事業報告義務を怠ると…

いち:「NPO法人には、毎年、新事業年度開始の日から3か月以内に、事業報告書をはじめとした6つの書類を提出する義務があります。(※期限は多くの自治体が条例で規定)

これを怠ると、役員に20万円以下の過料が課せられる可能性があり、“3年間行わないと督促等の手続を経て認証取り消し”という罰則規定があります。(NPO法第29条)」

NPO法人が事業年度終了後に所轄庁に提出する書類一覧表

いち:「毎年、事業年度終了後に所轄庁(都道府県または政令指定都市の場合は市)に提出する書類は以下になります。」

提出書類名主な内容
1 事業報告書前年度の事業実施状況をまとめた報告書。
活動の成果や運営の状況を記載。
2 活動計算書前年度の収益・費用などをまとめた計算書。株式会社の損益計算書に相当。
3 貸借対照表前年度末時点の資産・負債・純資産の状況を示す書類。
4 財産目録前年度末時点で保有する財産の明細。
備品・預金・不動産などを記載。
5 役員名簿氏名、住所、就任・退任日・報酬の有無などを記載。
役員変更があった場合は別途届出も必要。
6 社員名簿前事業年度末日における社員名簿(設立要件10名以上の要件確認を含む)
社員(正会員)の氏名・住所を記載。

いち:「翌年度の事業計画書・収支予算書を含めた8書類を提出書類として案内している自治体もありますので、確認をしておきましょう。

上記の届け出は、内閣府NPO法人ポータルサイト“ウェブ報告システム”を利用してウェブ上で行うことも可能です。」

提出した書類はNPO法人の事務所に備え置かなければならない

いち:「NPO法人には、所轄庁に提出した書類と同じ書類を5年間全ての事務所に備え置かなければならないという義務があります。(※規定上は、主たる事務所および従たる事務所と記載されています)

また、NPO法人の社員、寄附者、取引先等も含むその他の利害関係人から、前述した書類の閲覧請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければなりません。(NPO法28条)」

まとめ|報告義務はNPO法人のためにもなる

ゆうき:「定期的に確認をされることで、活動の正当性が維持できるわけなんですね。」

いち:「おっしゃる通りです。NPO法人は社会の信頼を前提に成り立つので、毎年の報告で活動を見える化することが大切なんです。
提出された書類は、所轄庁のホームページなどで一般公開されて、誰でも閲覧できるようになっているんですよ。」

ゆうき:「公開されるんですか?
活動内容は分かりますけど、自分たちのお金の使い方まで?何だか恥ずかしいような…」

いち:「そうなんです、公開されるんですよ。
見かたを変えると、寄付を受けるNPO法人にとっては、この毎年の報告の内容が信頼の証明書のようなかたちになっているんです。」

ゆうき:「うん…たしかに。どんな活動をしているか透明にされたほうが、応援したくなりますし、信頼してお金を託すことができますよね。」

いち:「その通りなんです。だから、毎年の報告をきちんと行うことは、義務ではあるんですが、それと同時に信頼を積み重ねる機会でもあるんですよ。」

ゆうき:「納得できます。NPO法人は人の信頼がすべてといってもおかしくないですもんね。」

いち:「そして、もっと社会的な信頼を高めて、寄附金控除等の優遇措置を受けられるようにしたい場合は、“認定NPO法人”を目指すという選択肢もあります。」

ゆうき:「認定NPO法人…、一般のNPO法人とどう違うんでしょうか?」

いち:「次回は、“NPO法人のその先”ともいえる認定NPO法人について詳しく説明をしましょう。
寄附者が寄附金控除の対象になるだけでなく、社会的信用もぐっと上がるんですよ!」

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