設立後に目指す?認定NPO法人 -NPO法人設立ガイド8-

認定NPO法人とは

いち:「NPO法人設立の説明は今回の説明をもって最後にしましょう。

今回は、認定NPO法人について説明をします。
認定NPO法人とは、所轄庁がNPO法人の中でも特にこの団体は公益性・信頼性が高いと認めたNPO法人のことです。
簡単にいうと透明性・公益性・信頼性の3拍子がそろったNPO法人、といってもいいと思います。」

ゆうき:「NPO法人の中のNPO法人ということですね。
うん…、それは目指したくなりますね。」

いち:「NPO法人を設立した際には、是非目指してください。
認定NPO法人になると、様々な優遇措置が受けれたり、賛同者がより集まりやすくなるんですよ。」

認定NPO法人になるにはどのくらい期間が必要?

ゆうき:「認定NPO法人、いいですね。
仮に、2025年中に認定NPO法人を作って活動しようと思ったら、いつからNPO法人になって活動をしないといけなかったんですか?」

いち:「面白い質問ですね。
そうですね…、2022年3月までにはNPO法人として設立して活動を始めておかないと2025年中の設立は難しいです。
加えていうと、3月でぎりぎりくらいなのでさらに2、3か月の余裕をもって考えた方がいいと思います。」

ゆうき:「そんなに前から?結構早く始めないといけないんですね。」

いち:「理由は簡単です。認定NPO法人になるには、“過去3年間、ちゃんと活動していたこと”が必要だからです。(NPO法第44条第3項+第45条)
これを、実績判定期間といいます。」

ゆうき:「なるほど、3年間の実績判定期間を置かないと申請自体ができないルールがあるんですね。」

いち:「その通りです。申請に関しては、“設立から1年以上経っていないと申請できない(NPO法第45条)”という条文もありますが、3年間の活動実績を積めば、この条件も自然にクリアできるので、心配はいりません。」

ゆうき:「3年間ちゃんと活動していれば、どのNPO法人も認定NPO法人の申請ができるんですか?」

いち:「ポイントは、設立してから活動を始め、3年間の記録を揃えること。
それさえクリアできれば、申請資格は問題ありません。
ただし、どのNPO法人も認定NPO法人として認められるわけではなく、3年間の活動実績を含めた、いくつかの要件をもとに判断されるんですよ。」

認定NPO法人になるための要件とは

いち:「以下が認定NPO法人になるための要件になります。
全てをクリアしなければ認定NPO法人設立は認められません。

区分要件内容・根拠補足
1. パブリック・サポート・テスト(PST)過去3年間の総収入に占める、寄附金や会費など市民からの支援の割合が一定以上であること

目安:3年以上にわたり、寄付金収入または会費収入が総収入の1/5以上(控除を含めない概略)
NPO法第45条第1項第1号
多くの人からの支援を受けているかを判定します。
※別途解説します
2. 事業活動要件法定の20分野のうち1つ以上に該当する公益目的事業を行い、かつ全事業の50%以上がそれに該当していること。
※NPO法第45条第1項第2号
収益事業の割合が過半を超えてはならない。
3. 経理的基礎要件適正な会計処理を行い、帳簿書類・活動報告書を備え、公開していること。
※NPO法第45条第1項第3号
公正な運営・透明性が求められる。
4. 運営組織要件役員のうち、親族関係者が1/3を超えないこと。
暴力団等の関係者がいないこと。
※NPO法第45条第1項第4号
ガバナンスの健全性を確保するための規定。
5. 事業活動の実績要件設立から3年以上継続して活動し、実績判定期間をクリアしていること。
※NPO法第44条第3項
認定は新設直後の法人には原則不可。
6. 情報公開要件事業報告書、計算書類、役員名簿、定款を閲覧可能な状態で備え置いていること。
※NPO法第45条第1項第5号ほか
閲覧は事務所またはウェブ上でよい。
7. 欠格要件暴力団関係者の関与や、過去に法令違反等により認定を取り消された法人でないこと。
※NPO法第47条
社会的信用の維持を目的とする規定。
8. その他(認定更新)認定の有効期間は5年。
更新時も申請時同様の要件を満たす必要あり。
※NPO法第51条
更新申請を行わない場合、認定は自動的に失効。

パブリック・サポート・テスト(PST)とは

いち:「設立要件の中でも、パブリック・サポート・テスト(PST)は見慣れない用語だと思いますので、詳しく説明しましょう。」

ゆうき:「はい、助かります。」

いち:「パブリック・サポート・テスト(PST)は、そのNPO法人が“広く市民からの支援”を受けているかを判定するための基準で、認定NPO法人になるための主要要件の一つです。
PSTは、次の3つの基準のうちいずれか1つを満たせばOKです。」

1 相対的基準(相対値基準)

いち:「相対的基準は、収入のうちどれくらいが寄附などの支援金なのかをみる基準です。
たとえば、NPOが1年間で1000万円の収入を得ていて、そのうち200万円以上が寄附や会費など市民の支援から来ていれば、“全体の20%以上が支援金”として、この基準をクリアできます。」

ゆうき:「なるほど、支援金の割合が多ければ、それだけ市民から支持を受けている、ということになるんですね。」

2 絶対的基準(絶対値基準)

いち:「絶対的基準は、実際に寄附してくれた人の人数を見る基準です。
たとえば、年間で3,000円以上寄附してくれた人が、年平均100人以上いれば条件クリアです。」

ゆうき:「これも支持を受けていることの証明になりますね。
でもこちらの方がハードルが高そうな印象です。」

3 条例個別指定(地方条例による指定)

いち:「この基準は少し特別で、自治体から“このNPOは地域に貢献している”と認められた場合の特例になっています。
自治体が条例で、このNPO法人は優良だから寄附金控除の対象にします、と個別に指定してくれれば、この基準を満たしたとみなされます。」

ゆうき:「へー、裁量でOKになる場合があるんですか!
自治体が特別にお墨付きをくれた場合は、パブリック・サポート・テストをクリアしたということになるんですね。」

認定NPO法人になるメリット

いち:「一般NPO法人と認定NPO法人に以下のような違いがあります。
表にして比較してみましょう。」

項目一般NPO法人認定NPO法人
所管官庁主たる事務所のある都道府県または指定都市国税庁長官(申請は都道府県等を経由)
寄附者の税制優遇寄附しても原則、税控除はなし個人は所得税控除・税額控除。
法人は損金算入限度拡大。
NPO法人の税制優遇なし(法人税の課税対象となる収益事業あり)特例認定を受けると、みなし寄附金制度の適用が可能
認定要件特定非営利活動を行う団体として、設立認証を受けるパブリックサポートテストなど、厳しい基準を満たす必要がある
寄附の集めやすさ税優遇がないため、比較的寄附は集めにくい寄附者に税控除があるため、寄附を受けやすい
社会的信用非営利活動団体として一定の信頼あり情報公開・運営透明性が認められ、より高い信用を得られる
報告義務毎事業年度の事業報告書・計算書類を所轄庁に提出NPO法人の報告義務に加え、情報公開義務あり
申請の難易度所定の要件を満たせば比較的取得しやすい活動実績・寄附状況・会計公開等の条件が厳しい
メリット法人格を得て社会的活動が可能になる寄附金の税控除などで資金調達力・信頼性が向上

みなし寄附金制度とは

ゆうき:「NPO法人の税制優遇にある、みなし寄附金制度とはどんな制度なんですか?」

いち:「NPO法人は公益事業と、収益事業を並行して行えることは以前説明しましたね。
みなし寄附金制度とは、収益事業からの公益事業への一定範囲の支出が“寄附金としてみなされる”制度なんです。
つまり、損金として算入できることで、収益事業の利益分が減り、法人税が安くなる可能性があるんですよ。」

認定NPO法人になると増える主な負担

いち:「ただし、認定NPOになって増える負担もあるんです。」

認定NPO法人になると増える負担

1 書類作成・報告の負担が増える
2 会計管理が厳格になる
3 更新手続きが必要になる(5年ごと)
4 寄附者対応の手間が増える
5 情報公開と透明性の確保

1 書類作成・報告の負担が増える

いち:「認定NPO法人になると、所轄庁への報告書類が増え、内容も細かくなるのが大きな特徴です。」

区分一般のNPO法人認定NPO法人
毎年の事業報告書提出が必要必要(+より詳細な内容)
活動計算書・貸借対照表などの計算書類提出が必要必要(+収支区分や寄附金の内訳まで明記)
寄附金に関する報告不要寄附者数・寄附額の報告義務あり
公開義務情報所轄庁への提出で足りる内閣府ポータルで全国公開

2 会計管理が厳格になる

いち:「寄附金が、寄附金控除の対象になるため、寄附金受領証明書(領収書)を正しく発行・保管しなければなりません。」

3 更新手続きが必要になる(5年ごと)

いち:「認定は永続ではなく、5年ごとに更新です。
そのたびに“パブリック・サポート・テスト(PST)”などの、認定NPO法人の条件を満たしているか確認されます。」

4 寄附者対応の手間が増える

いち:「寄附者が税控除を受けるための証明書発行が義務になります。
寄附金控除の説明や問合せ対応など、寄附者との対応時間が増える可能性があります。

5 情報公開と透明性の確保

いち:「認定NPO法人になると、事業内容や財務状況などをウェブ上で一般公開する義務があります。
つまり、活動が常に社会の目に触れる状態になるということです。
不明瞭な支出や説明不足があると、指摘や批判を受けることもあり、信頼を損なうリスクが高まります。」

ゆうき:「SNSなどで活動の問題が話題になることもありますね。
信頼が大切なNPOにとっては注意が必要ですね。」

認定NPO法人への近道“特例認定NPO法人”とは

いち:「実は、認定NPO法人になるには近道があるんですよ!」

ゆうき:「それはぜひ聞いてみたいです!」

いち:「それはあらかじめ、“特例認定NPO法人”になっておくこと、なんです。(NPO法58条)
特例認定NPO法人とは、個人や法人の寄付金控除等、一部認定NPO法人と同じ税制優遇を受けられる法人で、かつ認定NPO法人の認定を受けやすくした制度なんです。

ただし、特例認定NPO法人になるにはいくつかの条件があります。
かつ、認定は、一NPO法人につき1回に限られており、有効期間は3年です。

特例認定NPO法人になるための条件内容
法人格がある日本国内で設立されたNPO法人であること
活動の継続性設立から5年未満で、1年以上の活動実績があること(特例の場合は一部緩和される場合あり)
補助金受領実績地方公共団体からの補助金等を受けていることが前提や有利となるケースあり(例:都道府県の助成・委託事業実績があると特例認定審査で加点など)

ゆうき:「なるほど。認定NPO法人と同じような税制優遇を受けられることは分かりましたが、認定NPO法人の認定受けやすくなる、というのはどういうことなんですか?」

いち:「特例認定NPO法人を経て、認定NPO法人の申請をすると、パブリックサポートテストが免除されます。
また、一定の基準に達した場合には所轄庁からの特例認定を受けられる場合があるんですよ。
つまり、認定NPO法人の審査を経ずに認定NPO法人になれる可能性がある、ということです。」

ゆうき:「認定NPO法人になるには、あらかじめ認定NPO法人を将来の目標にしてNPO法人を始めて、5年以内に特例認定NPO法人にするのが一番早い、ということですね。」

いち:「はい、その通りです。」

NPO法人設立編まとめ|NPO法人を目指すということ

ゆうき:「認定NPO法人になれば、義務が増えてそれに伴う負担があるけど、資金や会員が集めやすくなって運営が安定する、というわけですね。」

いち:「その通りです。
加えていうと、認定NPO法人を目指すということは、単に肩書を得るということではなく、社会からの信頼を形にするということにもつながります。
その信頼が、次の活動資金や仲間、そして新しい支援の輪につながっていきやすくなるんです。」

ゆうき:「NPO法人のその先に、“信頼の証”を得るための道があるんですね。
NPO法人の設立から始まり、信頼の証を手に入れるまでの道のりは容易ではなさそうですが、目標として目指す価値があるのはよく分かりました。

僕がNPO法人に参加をするかはまだ決断できていませんが、どちらにするにせよ、教えていただいたことで友人のサポートができると思います。」

いち:「お役に立てて良かったです。
また何かあれば気軽に相談してくださいね!」


NPO法人設立ガイド終わり。

NPO法人の設立と運営Q&A -NPO法人設立ガイド番外編ーはこちら

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