登場人物紹介
いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った
定款の認証とは?|手続き・必要書類・費用を解説
かなえ:「協力をしていただいたおかげで何とか定款を作れました!」
いち:「素晴らしいです。かなえさんの努力の成果ですね。
では次の段階にいきましょう!」
かなえ:「次は定款の認証ですね。」
いち:「はい。定款は作ったら効力を発するものではありません。
株式会社を設立するには、作成した定款を公証人に見てもらって、この定款は法律的に問題ない、というお墨付きをもらう必要があります。
これを定款の認証というんです。」
かなえ:「作ったらOK、というわけではないんですね。
定款の認証はどこでしてもらったらいいんですか?」
いち:「基本的には、公証役場に行って手続きをします。
公証役場は全国にありますが、通常は本店所在地と同じ都道府県内の役場(ない場合は近隣の主要都市)を利用します。」
かなえ:「…じゃあ早速今日にでも行ってこようかな。
早い方がいいですよね?」
いち:「早い方がいいのは間違いないんですが、定款の認証には原則として事前予約が必要です。
公証人のスケジュールが埋まっていてなかなか予約ができない事も考えられるので、電話やメールで早めに予約を取っておきましょう!」
かなえ:「思い立ったらすぐに認証をしてもらえるものではないんですね。」
定款認証に必要な書類一覧と取得方法
いち:「それでは、認証に必要な書類がいくつかありますので、そちらをご案内しましょう。」
必要書類 | 紙定款の場合 | 電子定款の場合 |
---|---|---|
定款原本(3通) | 実印押印の紙定款を3通提出 | 電子署名付きPDFファイルを公証役場に事前送信 |
発起人の印鑑証明書(各1通) | 取得3ヶ月以内の原本提出 ※発起人が法人の場合は登記簿謄本も必要 | 紙定款と同じ ※郵送または持参 |
発起人の実印 | 各自実印で押印 | 不要 ※電子署名で代替 |
実質的支配者となるべき者の申告書 | 提出必須 | 紙定款と同じ |
顔写真付きの公的身分証明書(1点) | 本人来所時に提示 ※代理人に依頼する場合は代理人本人の身分証明書1点が必要 | 郵送やオンライン確認で対応可能 |
定款認証手数料 | 50,000円 ※資本金額により変動 | 50,000円 ※資本金額により変動 |
印紙税(収入印紙) | 40,000円 | 0円 |
定款謄本交付手数料 | 紙謄本1枚250円×ページ分 ※20ページなら5,000円程 | CD-R300円(紙謄本可) ※PDFデータとして作成されるが、登記や金融機関提出のために、謄本として交付してもらう必要がある |
かなえ:「なるほど。定款が3通も必要な理由は何ですか?」
いち:「まずは、公証人役場の保管用定款が一通。
こちらの表紙の裏ページ中央に印紙税4万円分の収入印紙を貼付しましょう。
残りの二通は、登記の際に法務局へ提出するものと、会社の保管用です。
会社保管用の定款は、コピーをして使う機会(法人口座の開設など)がこれからもありますので、忘れないところに保管をしておくと手続きがスムーズに行えますよ。」
かなえ:「分かりました、気を付けます。
定款認証手数料は、資本金の額によって変動とありますけど、もっと安くなったり高くなったりすることがあるんですか?」
いち:「はい、定款認証手数料は資本金の額によって違うんです。
資本金300万円で株式会社を設立するのかなえさんの場合は、上限の5万円になります。」
資本金 | 印紙税 |
---|---|
100万円未満 | 3万円 |
100万円以上300万円未満 | 4万円 |
300万円以上 | 5万円 |
まとめ|定款の認証は代理人でもOK
かなえ:「ふう、最近は、今の会社の仕事の引継ぎに…、会社設立手続き、開業準備、事業プランの再確認と…かなり忙しくなってきました。」
いち:「今は一番大変な時期ですよね。
定款の認証は、原則公証人役場への発起人本人の持参なのですが、都合がつかない場合は代理人に任せることができます。
その際には委任状が必要になりますが、委任の意思が書かれていれば、委任状は簡単なもので問題ありません。
私が代わりに提出することもできますので、お忙しいようでしたら遠慮なくおっしゃってくださいね!」
かなえ:「ありがとうございます!そう言われるとつい頼りたくなりますね。
でも初めての会社設立なので、できるところまでは自分でやってみたいと思います。
何とか頑張って続けてみます!」
いち:「あまり無理せずに頑張って下さいね。
では次回は資本金の払い込みについての説明をいたしましょう!」