法人口座を申し込む -ひとり会社設立編13-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った

※文中の赤文字は専門用語です

“設立完了” creativeK株式会社が誕生しました!

かなえ:「いちさん!無事に登記が完了しました!creativeK株式会社の誕生です!!
細かい補正がいくつかありましたけど、何とか期限内に対処できました。」

いち:「おめでとうございます!
ここからが本当のスタートですね。」

会社設立後の第一歩|法人口座を開設する

法人口座の開設に必要な書類と準備チェックリスト

かなえ:「次は法人口座の開設でしたね。

法人口座開設に必要とおっしゃっていた登記事項証明書印鑑証明書の取得は済んでいます。」

いち:「さすがですね、かなえさん。
それでは法人口座開設に必要な基本的なものを挙げていきましょう。」

いち:「その他に、金融機関によって必要書類が追加される場合がありますので、どの金融機関にするか決めたら確認しておきましょう。

法人口座の開設までは金融機関によって大きく違いますが、一般的には一週間から三週間程度といわれています。」

法人口座と個人口座の違い|審査が厳しい理由とは?

いち:「法人口座開設は個人口座と違って、事業の実態があるかどうかを金融機関側が厳しくチェックします。
特に最近は、詐欺事件の増加やマネーロンダリング対策などで審査が厳しくなっているんです。」

かなえ:「開設にはハードルがあるってことですね。
審査に通らないこともあるんですね。」

いち:「はい、あります。

主な否決理由としては、自宅住所が本店になっているが事業実態の証明が乏しいホームページやSNS等での対外的な活動実績がない開業資金の流れが不明瞭である、資本金が少なく、用途が示せない等があるようです。

それに事業内容の説明を求められることがありますので、ちゃんと答えられないのはマイナス材料です。
一方で、事業実態を表す、事業用のホームページやパンフレット、契約書などがあったらプラス材料になるでしょう。」

かなえ:「私…本店住所が自宅なんですけど…開設、難しいかもしれませんか?」

いち:「本店住所が自宅だからといって即マイナス評価になる、というわけではありません。
なんにせよ事業実態をしっかり説明できる準備をしておくことはとても大事なことですね。」

かなえ:「登記が済んでいれば大抵は法人口座を開設できるんだって考えていましたけど…、そう簡単な話じゃなさそうですね。」

どこが良い?法人口座の金融機関の選び方

いち:「あとは金融機関の選び方もポイントです。

都市銀行やネット銀行はアクセスしやすくて便利ですが、創業したての実績のない会社は審査が比較的厳しい傾向があります。

その一方、地方銀行信用金庫は地域密着型の金融機関のため、事業の相談にも乗ってくれるケースも多いです。」

かなえ:「信用金庫は今まで関わる機会がありませんでした。
どういった金融機関なんですか?」

いち:「信用金庫っていうのは、まさに地域の中小企業や個人事業主のサポートを目的とした金融機関なんです。
銀行と似てますが、営利企業じゃなくて地域貢献が主な役割の金融機関なので地域の企業に優しめなんですよ。」

かなえ:「私みたいな小さな会社でも相談しやすいってことなんですね。」

いち:「その通りです。
特に創業したばかりの会社に対しても、地域の会社を育てたいという考えから柔軟に対応してくれることが多いです。

口座開設のハードルが比較的低かったり、将来的に融資や経営相談を受けやすかったりします。

注意点としては、信用金庫は営業エリアが限定されているので、自分の会社がその地域内にないと利用できないケースがある、ということですね。
またオンラインサービスは都市銀行やネット銀行ほど発達していないことがあります。」

かなえ:「一長一短があるんですね…。
融資を受けやすかったり経営相談ができるのは魅力なので、信用金庫は選択肢の一つとして考えたいです。」

ネット銀行?それとも信用金庫?|法人口座の各金融機関比較表

いち:「金融機関にはそれぞれ特徴があるので、自分の事業に合ったところを選ぶことが大切です。
ゆうちょ銀行を加えて各金融機関の特徴をまとめてみました。

金融機関名メリットデメリット
ネット銀行手数料が安い対面相談不可で融資相談が難しい
都市銀行大きな取引や国際取引に強み審査は比較的厳しめ
地方銀行信用金庫ほどではないが地域企業への柔軟な対応都市銀行ほどではないが審査は比較的厳しめ
信用金庫地域密着型で、創業期の小規模会社の融資や経営相談に親身に対応営業エリアが限定的
ゆうちょ銀行全国展開審査は比較的厳しめ

かなえ:「ありがとうございます!
選ぶ前にそれぞれの特徴をちゃんと比べてみますね!」

法人口座を開設できなかったときの対処法と代替手段

かなえ:「それにしても法人口座の開設をもし断られたらと思うと不安です。」

いち:「その場合は、なぜ断られたのかを先方に確認しましょう。
銀行によっては理由を教えてくれることもあります。
そのうえで、対策を取ってから別の金融機関に申し込むこともできます。

一時的に個人口座で事業を始めることは可能ですが、私的流用や信用を疑われて融資が受けられなくなったり、税務処理が複雑化したりとあまり良いことはないので、あくまで暫定的なものに留めておくべきです。」

かなえ:「一度だめでも、準備を整えれば次のチャンスがあるってことですね。
それに代替手段もあるなら少し気が楽になります。」

いち:「もしも開設できなかった場合の対応は大変だと思いますけど、ちゃんと段取りをすればきっとうまく進みますよ。

そしてどうしても自分でやってだめならば、税理士などの専門家に相談すると金融機関とのやり取りのコツや対策を教えてもらえる場合もあります。

あきらめずに頑張りましょうね!」

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