登場人物紹介
いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った
※文中の赤文字は専門用語です
会社設立の最終ステップ|登記申請のやり方と注意点
登記申請のやり方
かなえ:「何とか登記書類を揃え終えました!」
いち:「かなえさん、よくがんばりましたね!
ここまで来たら、次は登記申請です。
いよいよ設立のゴールが見えてきましたね。」
かなえ:「登記書類って…どの法務局に申請してもいいんですか?」
いち:「どこでもいいわけではなくて、登記申請は本店所在地を管轄する法務局に提出します。
つまり会社の住所に対応する法務局のことですね。」
かなえ:「申請って窓口まで行って出すんですよね?」
いち:「はい、窓口での提出もできますし、郵送、あるいはオンライン申請(商業登記電子申請)といくつかのやり方があります。
ただオンライン申請は、電子証明書が必要であったり、事前準備がやや複雑と初めての人にはハードルが高いです。
窓口に持っていく方が安心かもしれませんね。
万が一、記載ミスがあってもすぐに確認できますし。」
かなえ:「はい、私は窓口に持参したほうがよさそうですね。
それで、申請した日が会社の誕生日(設立記念日)になるんでしたよね?日にち選びも重要ですね!
申請したらすぐ登記がされるんですか?」
いち:「申請してから法務局が内容を審査するので、通常は数日〜1週間ほどかかるのが一般的です。
特に問題がなければそのまま完了して、登記完了証と会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得できるようになりますよ。
ちなみに登記完了証は発行されない場合もあるようですが、登記完了の確認は謄本の取得で可能です。」
登記申請の注意点
いち:「登記申請をする前に一つだけ、大切な話をしておきます。」
かなえ:「えっ、なんですか?」
いち:「登記書類に不備があった場合、そのまま受理されることはありません。
内容にミスや不足があると、法務局から補正(ほせい)を求められます。」
かなえ:「補正って、訂正みたいなものですか?」
いち:「その通りです。
法務局の担当官が書類をチェックして、問題があれば電話や書面で連絡が来て、修正の指示が出ます。
例えば印鑑証明書が古いとか、定款の記載が曖昧とか、添付書類が足りない等様々なケースが考えられます。」
かなえ:「そういうことなら書類を直して提出し直せば問題はないということですね。
改まって言われたので少しびっくりしました。」
いち:「確かに指定された期限内に修正して再提出すれば大丈夫です。
でも内容によっては再提出になってしまったり、期限内に修正しきれないことも考えられます。」
かなえ:「…あ!会社の誕生日がずれてしまう可能性があるってことですね!
それは避けたいです。」
いち:「設立記念日も大切ですが、会社の設立が遅れると実務的にもいくつか困ることが出てくる可能性があるんです。
たとえば、法人口座は、登記が完了していないと開設できません。
これが遅れると、取引先とのお金のやりとりや、設備投資の支払いなどがすぐに行えない場合があります。
また、助成金や補助金の申請には設立日を基にした締切があることも多いので、タイミングを逃すと申請できなくなってしまう危険があります。
創業時に必要な経費の一部を、国や地方公共団体が補助してくれる創業助成金などの申請予定がある場合は大変ですよね。
さらには、もし融資や取引先との契約などのスケジュールがすでに決まっている場合、登記の遅れが事業全体に影響を与えることになりかねません。」
かなえ:「誕生日どころか、事業の始まり自体がつまずく可能性があるんですね…」
いち:「自分で登記申請をする場合でも、法務局の窓口で事前相談を受けられるので、気になるところがあれば気軽に聞いてみるといいですよ!」
登記完了後に必要な手続きと準備
いち:「無事登記が完了したら、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書をもらっておいてくださいね。
次回お話しする会社の法人口座を開設する際に必要になります。」
かなえ:「登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書ですね、分かりました!
登記が完了したら私の会社が設立されるんですね…緊張します。
登記申請、スムーズに通ればいいけどなぁ。」
いち:「はい、もう一息です。
かなえさんの書類はしっかり準備できてるから、きっと大丈夫ですよ!」