個人事業とはどういうもの? -ひとり会社設立編2-

登場人物紹介

いち
行政書士事務所所長の行政書士
かなえ
起業の夢があるWEBデザインの会社に勤める30代女性
両親が相続の相談をしたことがきっかけでいちと知り合った

※文中の赤文字は専門用語です

個人事業とは?メリット・デメリットと開業手続きの全体像

いち:「前回は個人事業と会社の違いの全体像をお話ししましたね。
今回からは個人事業と会社との違いをもう少し詳しく説明します。

今回は、個人事業のメリットとデメリットと、個人事業を始めるにはなにをしたらいいのか?
個人事業を始めるためのステップをお話しましょう。」

かなえ:「よろしくおねがいします!」

個人事業で起業するメリット|設立の手軽さと柔軟な経営

  1. 税務署に開業届を出すだけで事業が開始できる
  2. 設立費用が掛からない
  3. 法人税や法人住民税など、法人特有の税金を支払う必要がない
  4. 法令に縛られず柔軟な経営ができる
  5. 確定申告のみで済み、税務がシンプル
  6. 従業員5人未満の小規模運営の事業所や特定の事業には社会保険の加入義務が免除される
  7. 利益が個人で直接受け取れる

個人事業のデメリット|信用・資金調達に注意が必要

  1. 法人格ではないため、取引先や金融機関からの信頼が得にくい
  2. 事業の損失はすべて個人が無限に責任を負う
  3. 良い人材が集まりにくい
    ▼事業の成長が限定的・社会保険に未加入等
  4. 資金調達方法が限定されていて事業の拡大が難しい
    ▼株式の発行不可・融資先が限定的

個人事業を始めるには?|必要書類と提出先

提出すべき書類|事業を始めるには個人事業開業等届出書が必須

個人事業開業等届出書

提出期限:開業の日から一か月以内

提出場所:所轄税務署

提出方法:e-Tax・税務署持参・郵送

テンプレート:あり 国税庁

任意の届出|節税につながる青色申告関連の書類

所得税の青色申告承認申請書|青色申告をするなら必須!65万円控除のための申請書

提出期限:青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合には、その事業開始等の日から2か月以内)

提出場所:所轄税務署

提出方法:e-Tax・税務署持参・郵送

テンプレート:あり 国税庁

青色申告とは

定められた条件できちんと帳簿をつけて確定申告をすることで、所得からの最大65万円の所得控除を受けられる制度です。
国税庁・青色申告特別控除

青色事業専従者給与に関する届出書|家族を従業員にするならこの届出を忘れずに

提出期限:青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで
(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内)

提出場所:所轄税務署

提出方法:e-Tax・税務署持参・郵送

テンプレート:あり 国税庁

個人事業とはどういうもの?まとめ

いち:「個人事業の説明は以上になります。

個人事業のメリットとデメリット、開業するのに必要な手続きや書類について説明しましたが、分かりにくいところはありませんでしたか?」

かなえ:「とてもシンプルで分かりやすかったです。
個人事業ならすぐにでも始められそうですね。」

いち:「個人事業を始めるには、税務署に1枚の届出をすればよくて、税制優遇を受けたいなら一、二枚の届け出を追加して提出する、シンプルですよね。」

かなえ:「それに個人事業には多くの魅力的なメリットもあるんですね。
処理が難しそうに思える事業の税金に関しても手続きが複雑じゃないのはありがたいです。」

いち:「そうですね。
会社には無い魅力的なメリットがあること、それも個人事業を選ぶ人が多くいらっしゃる理由の一つなのでしょうね。
特に今かなえさんがおっしゃった、会社の法人税等の税務は税理士さん無しではやれないほど複雑です。」

かなえ:「でも、個人事業は信用面で制限が掛かって取引先や資金調達手段が限定されてしまう可能性があるんですよね?ここが気になるポイントです。」

いち:「次回は会社設立についてお話ししましょう。
気になるポイントも含めて、今回と比較することでより理解が深まると思いますよ!」

個人事業関係書類まとめ一覧表

必要な届け出

名前提出先期限提出方法
個人事業開業等届出書所轄税務署開業の日から一か月以内e-Tax・税務署持参・郵送

届出は任意

名前提出先期限提出方法
青色申告承認申請書所轄税務署青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までe-Tax・税務署持参・郵送
青色事業専従者給与に関する届出書所轄税務署青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までe-Tax・税務署持参・郵送
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