個人事業とはどういうもの? -ひとり会社設立編2-

個人事業とは?メリット・デメリットと開業手続きの全体像

いち:「前回は、個人事業と会社の違いの全体像をざっくりとお話ししました。
今回からは数回に分けて、個人事業と会社との違いをもっと詳しく説明していきます。

かなえ:「とても助かります。
私は個人事業で始めるという考えが元々なかったので、個人事業のことを何も知りません…
個人事業のお話しから聞いてみたいです!」

いち:「かしこまりました。では今回は、個人事業についてもっと掘り下げていきましょう!」

個人事業で起業するメリット|設立の手軽さと柔軟な経営

かなえ:「個人事業で始めたら、どんなメリットやデメリットがあるのかを教えていただけますか?」

いち:「では、個人事業で事業を始めるメリットから説明をしましょう。」

◆個人事業で起業する7つのメリット◆

1 税務署に開業届を出すだけで事業が開始できる

2 設立費用が掛からない

3 法人税や法人住民税など、法人特有の税金を支払う必要がない

4 会社法等の法令に縛られず柔軟な経営ができる

5 確定申告のみで済み、税務がシンプル(個人でできるレベル)

6 従業員5人未満の小規模運営の事業所や特定の事業には社会保険の加入義務が免除される

7 利益が個人で直接受け取れる

個人事業で起業するデメリット|信用・資金調達に注意が必要

いち:「次は、個人事業のデメリットです。」

個人事業で起業する4つのデメリット◆

1 法人格ではないため、取引先や金融機関からの信頼が得にくい

2 事業の損失はすべて個人が無限に責任を負う

3 良い人材が集まりにくい
理由:事業の成長が限定的・社会保険に未加入でもよい場合があることなど

4 資金調達方法が限定されていて事業の拡大が難しい
理由:株式の発行ができない・融資元が限定的であることなど

個人事業を始めるには?|必要書類と提出先

提出すべき書類|事業を始めるには個人事業開業等届出書が必須

かなえ:「前回の説明では、税務署に開業届を出すだけで個人事業を始められるということでしたね。
個人事業を始める際に、提出しなければならない書類を教えていただけますか?

いち:「はい、個人事業を始める際に提出する書類は一枚でOKです。
事務所を管轄している税務署に、個人事業開業等届出書(開業届)を提出します。」

個人事業開業等届出書(開業届)

【提出期限】開業の日から一か月以内

【提出場所】所轄税務署

【提出方法】e-Tax・税務署持参・郵送

【テンプレート】あり 国税庁

かなえ:「“事務所を管轄している税務署”とはどういうことですか?
どう調べたらいいんでしょうか。」

いち:「普段あまり馴染みのない言葉ですよね。
事務所を管轄している税務署というのは、かなえさんの事業所の所在地を担当している税務署のことです。
国税庁のウェブサイトで簡単に調べられます。(国税庁リンク:税務署の所在地などを知りたい方

“所轄庁”“○○を管轄している”という言葉はこれから何度も出てきますので、ぜひ覚えておいて下さい!」

任意の届出|節税につながる青色申告関連の書類

いち:「これから説明する任意提出書類は、メリットが大きいのでぜひ検討をおすすめしたいものです。
こちらの届出をするには、開業届を出していることが前提条件になります。

所得税の青色申告承認申請書|青色申告をするなら必須!65万円控除のための申請書

【提出期限】青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合には、その事業開始等の日から2か月以内)

【提出場所】所轄税務署

【提出方法】e-Tax・税務署持参・郵送

【テンプレート】あり 国税庁

青色事業専従者給与に関する届出書|家族を従業員にするならこの届出を忘れずに

【提出期限】青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで
(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2か月以内)

【提出場所】所轄税務署

【提出方法】e-Tax・税務署持参・郵送

【テンプレート】あり 国税庁

開業届を国や自治体ではなく税務署に提出する理由って?

かなえ:「とてもシンプルなんですね。
個人事業ならすぐにでも始められそうです。
開業届を国や自治体ではなく、税務署に提出するのはなぜなんですか?

いち:「国税庁からは以下のような理由が発信されています。
ざっくりとお答えすると、税務署に届け出をする主な理由は納税の管理なんです。」

所得税の青色申告を受けるため
青色申告承認申請書の提出には、開業届が必要

事業所得の区分が必要になるため
▼開業届を提出することで、所得の中で「事業所得」として区分される
確定申告において適正な課税が行われるようにするため

帳簿の記帳・保存義務の明確化
▼事業者には、記帳や帳簿書類の保存義務があるため

税務署に事業開始の事実を知らせるため
▼納税管理や調査の対象として正しく把握するため

個人事業とはどういうもの?まとめ

いち:「個人事業を始めるには、税務署に1枚の届出をすればOKで、税金の優遇を受けたいなら、さらに一、二枚の届け出を追加して提出する、という仕組みになっています。
とても簡単ですよね。」

かなえ:「はい。それに個人事業には多くの魅力的なメリットもあるんですね。
処理が難しそうに思える事業の税金に関しても、手続きが複雑じゃないのはありがたいです。」

いち:「会社の場合だと、複雑な法人税の計算があるので、専門家に依頼しないと難しい面があります。
会社よりも事務処理が簡潔であること、それも個人事業を選ぶ人が多くいらっしゃる理由なんでしょうね。」

かなえ:「はい、でも…気になるところもありますね。
個人事業は信用度が低かったり、資金調達手段が限定されたりと、ちょっと見逃せないデメリットです。」

いち:「たしかに事業の根幹に関わる大きなデメリットと言えますね。
個人事業のメリット、デメリットは、会社のメリット、デメリットと比較することでより理解が深まるでしょう。

次回は会社設立についてお話ししましょう。
今回の個人事業の説明と比較することで見えてくるものがあると思いますよ!」

個人事業関係書類まとめ一覧表

必要な届け出

名称提出先期限提出方法
個人事業開業等届出書
(開業届)
所轄税務署開業の日から一か月以内e-Tax・税務署持参・郵送

届出は任意

名称提出先期限提出方法
青色申告承認申請書所轄税務署青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までe-Tax・税務署持参・郵送
青色事業専従者給与に関する届出書所轄税務署青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までe-Tax・税務署持参・郵送
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