定款とは
ていかんって読むんですね。
あまり聞きなれない言葉ですね。
定款とは会社のルールを定めた一冊の本です。
定款は会社の憲法と呼ばれることがあります。
憲法と同じようにルールから外れた運営はできず、また権力を限定するという側面がありますので、上手く言い当てている表現ですね!
定款に記載する内容
いち:「定款には3つの項目があります。」
1⃣絶対的記載事項
必ず記載しなければならない項目
2⃣相対的記載事項
記載がなければ効力を生じない項目
3⃣任意的記載事項
会社が自由に定められる項目
1⃣絶対的記載事項
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金)
⑤発起人の氏名または名称及び住所
いち:「この5つが絶対的記載事項です。
これはきっともう書けますね。」
かなえ:「はい、以前つくった会社の基本事項とほぼ同じです。」
2⃣相対的記載事項
①金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
②株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
③株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
④株式会社の負担する設立に関する費用
⑤株式の譲渡制限
⑥取締役会、監査役等を置くことができる旨
⑦存続期間又は解散の事由
⑧公告方法
かなえ:「難易度が上がりましたね…かみ砕いて説明していただくと助かります。」
いち:「はい、できるだけ分かりやすく言い換えてみます。」
①金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数
→①現物出資※をする者の氏名か会社名
※会社設立の際の出資は現金だけではなく、車や不動産ですることも可能です
これを現物出資といいます
②株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
→財産引受※を約束した者の氏名か会社名
※財産引受とは会社のために発起人が会社の設立を条件として特定の財産を譲り受けることです
③株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
→役員報酬や他に受ける報酬があればその額
④株式会社の負担する設立に関する費用
→発起人が支払った会社設立費用の返還の有無、方法
⑤株式の譲渡制限
→株式に譲渡制限を付けるか付けないか
※株式が自由に譲渡できると、株主の影響で望んだ経営ができなくなったり、最悪の場合会社が他人の手に渡ることもあります
⑥取締役会、監査役等を置くことができる旨
→取締役会などの機関を設置するか
⑦存続期間又は解散の事由
→期間限定の会社にするか
⑧公告方法
→会社の発表を世間に知らせる方法
※公示方法には新聞やウェブサイト、官報などの方法があります
かなえ:「分かりやすいくなりました。
ここはこうした方がいいというところはありますか?」
いち:「意味は注釈で述べたとおりですが、株式には譲渡制限をつけることです。
また公示方法は官報を選ぶこと。
官報は費用、管理等の面でメリットがあります。
有名企業も多く官報を公示方法に選んでいるので安心感もありますね。」
3⃣任意的記載事項
法律の範囲内で会社のルールにしたいことを自由に定めることができる。
取締役や監査役の人数、株主総会の詳細、事業年度など。
いち:「任意的記載事項は先の二つと違って書くことが決まっていないので、人によっては一番難しい項目になるかもしれません。
定款に記載すると内容に拘束されるので将来不都合が生じることのないようによく考えて記載しましょう。」
定款を製本する
いち:「各項目の内容を決めたらA4用紙に記載します。
書き終えたら左端をホチキスでまとめて各ページに契印をして完成です。
ルールではありませんが、見栄えをよくするために表紙を作ったり製本テープを貼ってみてもいいでしょう。」
かなえ:「契印というのは初めて聞きます。」
いち:「綴じた冊子を見開いて二枚に渡るように境に押印することを契印といいます。
一連のものであることを証明する押印です。」
電子定款とは
いち:「今まで従来の定款作成手順をお話ししてきましたが…定款は製本化せずPDFファイルで電子定款として申請することも可能なんです。
電子定款の最大のメリットは、定款の認証の際に必要となる収入印紙代4万円が不要になること。
また定款の認証は持参が原則必要なのですが、電子定款だとオンライン申請が可能になります。
アプリで顔を見ながら話して認証を完了できる自治体もありますよ!」
かなえ:「それはずいぶんと楽だしお得ですね…
それなら電子定款にした方がいいんじゃありませんか?」
いち:「ただ専用ソフトの購入、マイナンバーを読み込むことができるICカードリーダーの購入等、設備投資に中々のお金が掛かるんですよ…」
かなえ:「あ…そんな落とし穴があるんですね。」
いち:「それらを揃えている行政書士もいますから対価が安ければ頼むのも一つの方法ですね。」
定款に違反した場合はどうなる?
かなえ:「定款に反した場合には罰則があるんですか?」
いち:「定款を守らない場合の罰則はないんですが、取締役が定款を守らなかった結果として株式会社に損害を与えたような場合には個人に損害賠償責任が生じることはあります。
加えて対外的な信頼を損なってビジネス上不利益を被るようなこともあるかもしれませんね。」
まとめ
いち:「今回はお一人で起業した場合の内容ですので、複数人いたり会社の機関を設立したりすると必要な項目が増えていきますので注意してくださいね!」
かなえ:「そんな場合は行政書士の方につくっていただくのも選択肢の一つですね。
私は今回お聞きした内容で何とかなりそうなので…頑張って作成してみます。
出来上がったらチェックをしていただけると助かります!」
いち:「ぜひ頼ってください。
分からないところがあればいつでも聞いて下さいね!」