金融機関に資本金の払い込みをする・ひとり会社設立編IX

資本金の払い込み

いち

定款の認証が終わりましたね。
このあたりで資本金の払い込みを行いましょう。

かなえ

どうしてこのタイミングなんですか?

いち:「会社設立に残すは登記申請のみなのですが、登記書類には資本金の払い込みがあったことを証明する書面が必要です。
登記申請は資本金の払い込みが終わってから2週間以内に行わなくてはならないルールがありますので登記種類を集めるのと同時進行でもかまいません。」

かなえ:「そういう理由なんですね。
改めて資本金とはどういうものなのかを教えてもらえませんか?」

いち:「分かりました。」

資本金とは?

資本金は企業の運営に使われる資金になります。
事業を展開する際、法律上の要件として資本金の積み立てが必要です。
資本金は、企業が発行した株式の額面金額の合計であって、その企業の活動や成長に必要な資金の一部として使われます。
資本金の金額は会社の規模を表すものとして、会社の信用を図る目安としてみられることがあります。

いち:「出資金の全額を資本金に組み入れる必要はありません。
資本金の2分の1を超えない額を資本準備金として資本金に計上しないことができます。」

かなえ:「資本準備金というのは初めて聞いました。
資本金に計上しないことに何かメリットがあるんですか?
それぞれの違いを教えてもらえないでしょうか。」

いち:「会社法では資本金の2分の1を超えない金額について、資本準備金として資本金に計上しなくてよいとされています。
資本金はになりますが、資本準備金は負債の補填や突発的な支出に備えて用意しておくものといわれています。
経営的なリスクの軽減は対外的な信用確保につながります。
また資本金が一定額を超えるにつれて税率が上がりますので節税に使われる場合もあると思います。」

資本金を払い込む口座は?

かなえ:「会社の口座はまだありませんよね?
どこに払い込みをしたらいいんでしょう。」

いち:「払い込みは発起人の個人口座に行います。
資本金は会社設立後に、後ほど作成する法人口座へ移すことになります。
何かしらの理由で法人口座を開設できなかった場合には、個人口座をそのまま会社で利用することになります。
新しく個人口座をつくってそちらに払込みをした方がいいでしょう。」

払い込みがあったことを証する書面の作成

いち:「資本金の払い込みを終えたら、払い込みがあったことを証する書面を作成します。
決まったテンプレートはありません。」

いち:「払い込みがあったことを証する書面は登記の必要種類の一つです。
登記書類として完成させるにはもうひと手間必要です。
通帳のコピーを取って以下のように一つにまとめます。」

①払い込みがあったことを証する書面
②通帳の表紙と裏表紙のコピー
③口座番号等が記載されている表紙の裏のページのコピー
④払い込みをした金額が記載されたページのコピー
以上4枚を重ね、左側をホチキスで綴じます。
※契印は令和5年現在不要

まとめ

いち:「ありがとうございました。
資本金の払い込みが済みましたらまたご連絡します。」

いち:「次回は登記書類を作成します。
登記が完了したらいよいよ株式会社の設立です!」