労働契約には何が必要?・雇用編ⅠⅤ

労働契約

かなえ

労働契約を結ぶ際に労働者側と交わしておいた方がいい書面はありますか?

いち

はい!あります。

いち:「会社にとって社員以外に知られたくない業務上の秘密がある場合には、守秘義務を明記した誓約書を交わしておきましょう。
仮に従業員が秘密を洩らした場合、不正競争防止法違反として10年以下の懲役、2000万円以下の罰金が科される可能性があります。
また秘密漏洩によって会社に損害が生じた場合には不法行為に基づく損害賠償請求が可能になります。」

かなえ:「十分な抑止力になりそうな重い罰則ですね。」

いち:「会社の規模によって損害の想定に大きく差がありますので最高刑がここまでになっているんでしょうが…

入社をする際に連帯保証人を設定してもらう身元保証書を書いてもらう企業も多くありますね。
従業員が会社に損害を与えた場合、従業員本人や連帯保証人に損害賠償請求ができます。
個人の負担が大きいと支払いが困難になりますので、連帯保証人は複数人設定するようにしておいた方がいいです。
ちなみに保証人は債権者から請求されたときに”本人に請求して欲しい”と一旦逃げることも可能ですが、連帯保証人は本人と同じ立場となりますのでたとえ本人の前に請求されたとしても支払う義務が生じます。」

まとめ

いち:「労働条件通知書の内容は正確に書かないといけませんね。
コンプラが騒がれている昨今は少なくなったと思いますが、会社の認識が甘いからなのか内容に齟齬がある労働契約を結ばされている例も少なくありません。」

かなえ:「いわゆるブラック企業ですね。
こういうところにも法律知識は必要だなと感じます。」

いち:「違法なのは論外ですが、会社側で些細だと思っていることが思わぬ事態を招くことがあります。
厚生労働省によると、2020年の労働審判事件数は3,907件、民事訴訟事件数は3,960件で、いずれも過去最高を記録している、とのことです。」

かなえ:「その中には入りたくないですねえ…」